既に一か月が経とうとしているが、未だ心の整理がつかないニュースがある。
三浦春馬さんの死である。
彼がいない世界で、時間が一定方向に流れていることに違和感を覚える日々。
一部の自分を過去に置き去りにした気分だ。
時を2020年7月18日に戻そう。
ふとニュースをチェックしてみると、信じられない文面が並んでいた。
それまでの他の事項を無に帰す勢いで、頭が真っ白になった。
自殺。
よりにもよって。
「享年30歳」とあった。享年?何言ってんの?
笑い飛ばしたかったけど、まぎれもなく現実だった。なんて似合わない単語。
〇〇より驚いた、といいたかったけど、○○が全く思いつかなかった。
反射的にスマホの電源を落として、強く目を閉じていた。
『ブラッディ・マンディ』で初めて知った。
『君に届け』は映画館に観に行った。
『ラスト・シンデレラ』で久しぶりに観た。
他にもたくさんのCMの数々。
PaulSmithでモデルの仕事をしていた。
NHKの番組でMCを始めたことも、最近歌をリリースしたことも。
俳優以外にも枠を広げて、新しい自分を模索しているのだと、そう思っていた。
どうして?
きっとそのうち追加情報が来るだろうと思っていたら、沈黙のまま。そこには事実だけが横たわっていた。
この出来事がずっと心に引っかかっているのは、「どうして?」が消えないからだと思う。
私は自殺反対派ではない。子どもはさておき、20歳を超えた人であれば、十分な思考回路があって「死」を薄々と理解している。
本人が了承したのなら、生きる権利も死ぬ権利も、誰にも邪魔できない。
全ては自由意志に委ねられる。
だから本人の選択を受け止めつつも、どういう経緯でそこに辿り着いたのかを延々と考えてしまう。
全ては想像の産物に過ぎない。
全てを持っている人にみえた。もちろん本人が努力して掴み取ったものだけれど。
甘い顔と、確かな演技力。悪い噂を聞いたことがない。
曲をリリースしたときは、歌とダンスまでできるのかとびっくりした。
笑ったときにくしゃっとなる顔が好きだった。
ニュースを知ってから、セカンドシングルの『Night Diver』を延々と聴いている。
ファーストシングルよりも内面が強く表現されている印象。
MVで縄製の椅子に座っているのに、いつもドキリとする。縄。ロープ。
途中でふっと瞼を閉じるシーンは、全てを諦めたようにも見えた。
夜に潜る、というタイトル。夜は暗闇で一人きり。ずっと何を思っていたのだろう。
本人作詞ではないけど、何かしら重なるところがあったのかもしれない。
新規情報が出ない以上、「どうして?」は一生消えないだろう。
情報を出してほしいとも思っていない。出されたところで理解できるはずもない。
彼の思いは、彼だけのもので。全部全部残さずまとめて持っていってほしい。
いつもメディア越しの人だったから、まだ実感は来ない。
今後俳優さんが着々と歳をとるなかで、彼だけが写真のまま時を止めている。未来永劫。その時まで。
願わくば、彼が天国で笑っていますように。